増殖期内膜間質細胞に形態がよく似た細胞の充実性増殖
1) endometrial stromal nodule (ESN)
2) endometrial stromal sarcoma, low-grade (ESS, low-grade)
定義では子宮平滑筋組織, および/あるいは, 血管腔内侵襲があればESS, low-gradeとしている。*1
上記以外の腫瘍
3) undifferentiated endometrial sarcoma
新WHO分類からは, 定義があいまいなendometorial stromal sarcoma, high-gradeに代わってundifferentiated endometrial sarcomaがもちいられるようになった*2
肉眼所見
ESNは筋層内に限局したあるいは子宮腔内に隆起する境界明瞭な腫瘍。割面は黄色から淡褐色調を示す。充実性で柔らかいが通常壊死や出血はみられない。
腫瘍と周囲の筋層とは平滑な境界をもって接していることが重要である。
ESS-LGは内膜から筋層にかけ不整形~分葉状の腫瘤形成をしめし一部が子宮腔に突出することもある。
傍子宮靭帯や付属器にも経脈管性に浸潤することがあり、その場合は子宮の形状はゆがんで大きな骨盤腔内腫瘤塊をつくることもある。
組織所見
腫瘍増殖細胞の形状や配列パターンはESN, ESS-LGいずれも同一とされ,内膜増殖期の間質細胞によく似た大きさのそろった均一な類円形~楕円形細胞がシート状, 充実性に増生している。
背景にはらせん動脈様の小血管が均等に分布している。腫瘍細胞は血管周囲では同心円状に配列する傾向がある。
核分裂像はESN, ESS-LGとも通常少数しか認めない。10/10hpf以上の分裂像増加が生物学的悪性度と相関するという見解は現在否定され予後には無関係とされている。
ESS-LGでは周囲の筋層に浸潤性増殖パターンをすることが唯一, ESNとの鑑別する診断基準である(WHOの定義).
多くのESS-LG症例はworm-likeと記載される細長い島状の浸潤像や高度の脈管浸潤(静脈浸潤が主)をしめす。このような所見からESS-LGは以前よりendolymphatic stromal myosisとも呼ばれてきた。
臨床事項